惑星からの逃走線

読書記録や研究上で思いついたこと、日々の雑感など。

自己-他者-環境

自己-他者-環境という、ある種の三位一体。 人間には、(たぶんだが)「他者」がいる。それは環境でもなく自己でもない。 このことの意味。

『弱いこと』の定義について

先日から『弱いことの意味』について、断続的に考えている。 では、『弱い』とは具体的にどういった状態を指す語なのか。 『弱い』という、かなり基礎的な語彙を、より説明的な表現に分解することは可能か? 『弱い』という言葉は様々な場面で使われる。 「…

『本を読む本』を読んでみた。

本を読む本 (講談社学術文庫) 作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/10/09 メディア: 文庫 購入: 66人 クリック: 447回 この商品を含むブログ (320件) を見る 所謂、「スゴ本…

最近の関心

近況の報告を兼ねて、最近の関心などを箇条書きにする。 コンピュータ・シミュレーションはプログラミング言語で記述される。ならば、コンピュータ・シミュレーションで描写不可能な実在はあるのか(≒「言語の記述限界」はあるのか)。あるとすれば、どんなも…

図書館で借りた本、2冊

一つは何となしに借りた、Serge Galam の "Sociophysics" という、「社会物理学」の本。 Sociophysics: A Physicist's Modeling of Psycho-political Phenomena (Understanding Complex Systems) 作者: Serge Galam 出版社/メーカー: Springer 発売日: 2012/…

今年振り返り

東大を卒業。 半年間ニート 東工大院に入学 三行でまとまった。

復活

そういうわけでまたブログ始めたいと思います。 だいぶ休んでしまいましたが、何卒よろしゅうお願いいたします。

群論の勉強始めました。

そういう訳で、当面は群論にも手を広げることにした。 <a href="http://kaito-y.hatenadiary.com/entry/2014/11/01/124957" data-mce-href="http://kaito-y.hatenadiary.com/entry/2014/11/01/124957">ムルンギン族の婚姻体系は何処から発生した? - 世界模型</a> ムルンギン族の婚姻体系は何処から発生した? - 世界模型 とりあえず図書館で永田雅宜『群論への招待』、飯高茂『群論、これはおもしろい』、永…

ムルンギン族の婚姻体系は何処から発生した?

レヴィ=ストロース「親族の基本構造」第14章は一部の人々にとって興味深いものだ。 実はこの章はレヴィ=ストロース自身が書いたものではなく、数学者アンドレ・ヴェイユが書いた。彼はこの箇所で、オーストラリア・アボリジナルの一部族「ムルンギン」の婚姻…

小林道憲「歴史哲学への招待」と『自発的対称性の破れ』

小林道憲著、「歴史哲学への招待:生命パラダイムから考える」を読んでいると、以下のような記述があった。 歴史哲学への招待―生命パラダイムから考える (MINERVA歴史・文化ライブラリー) 作者: 小林道憲 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2013/04 …

効用とは何か

素朴な疑問で不勉強がバレてしまうが、効用関数を所与としないような社会シミュレーション(ゲーム理論でも、ABMでも)ってあるのかな。

Ingressって何だ?

と思ったので、はてなキーワードで調べてみた。 <a href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Ingress" data-mce-href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Ingress">Ingress</a> Ingressとは - はてなキーワード ふむふむ、実はGoogleが作っている、由緒正しい(?)ゲームなわけね。 いわば実世界を盤として使う碁みたいな感じかな。 こんなに流行っているのに、こんなことすら知…

Processing

Processing を習う。

特許ってもうちょっと上手くデザインできないかな。

そういえば、今年のノーベル物理学賞は日本人2名とアメリカ人1名に決まっていた。 言わずもがな「アメリカ人1名」というのは日本に生まれ、当初は日本国籍だった中村修二氏なわけである。そして、彼が日本を去った理由もくどくど説明する必要がないほど有名…

近況

ぼつぼつプログラミングもせにゃならんなあ、と思いつつまるでやっていない、とても良くない。 ついでに英語と数学も圧倒的なくらいやっていない、大変よろしくない。 やるべきことリスト(重要度の高いもの): 英語(高校英語から復習) 初期文明について詳細…

自由意志と社会シミュレーション

自由意志の問題と社会シミュレーションという、一見して明らかに結びつくにくそうなトピック二つであるが、私の考えるところによれば、これらは密接な関係がある。なぜか、を以下に解説したい。 まず、自由意志というのは(基本的には、という留保を付けた上…

権力はイノベーションを歓迎しない

イノベーションは万人にとって良いものだろうか? ほとんどの人にとって、ある種のイノベーションはとてもありがたいものである。特に、我々の生活の質を向上させるようなものは人々に大きく歓迎される。 これは当然であるが、ではイノベーションを歓迎しな…

歴史に関心を抱く社会とそうでない社会

蔀勇造「歴史意識の芽生えと歴史記述の始まり」は日本語で書かれた手頃な価格の本としては珍しい史学史をテーマとしたものである。 歴史意識の芽生えと歴史記述の始まり (世界史リブレット) 作者: 蔀勇造 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2004/10 メデ…

コンピュータ以前のプログラマはどこにいた?

当然であるが、人間の思考の「型」みたいなものはそう簡単には変化しないだろう。 いや、これも色々と意見があるだろう。たとえば、新技術の開発で、或いは社会的な要請の変化で、新しい思考の型は生まれるだろう、など。 しかし、火のないところに煙は立た…

孫子とゲーム理論

Wikipediaでこんな記述を見つけた。 孫子 (書物) - Wikipedia 現代の戦略理論であるゲーム理論で、以下のことが証明されている。すなわち、二人零和有限確定完全情報ゲームの解は、ミニマックス理論である。孫子が主張するように勝利を目的に敵対する双方が…

地球外知的生命体と人類は邂逅できるのか?――「宇宙人類学の挑戦」

仮に地球外知的生命体がいたとして、我々は(そして彼らも)相手を「知性を持った存在として」認識できるだろうか。 この問題について、先日読んだ「宇宙人類学の挑戦」に結構詳しく書いてあった。 宇宙人類学の挑戦―人類の未来を問う 作者: 岡田浩樹,木村大治…

世代間の不平等をゲーム理論で定式化できるか

要は ・若者 ・壮年 ・老人 これらのコンフリクトをゲーム理論的に分析できないか、という話。一例として年金問題を考えてみよう。 年金を払う/払わないという戦略があり、利得は年金の支給である。 定式化できるだろうか? 問題は、普通のゲーム理論の Agen…

UNESCO "General History of Africa" は何が凄いか

UNESCOが主導する、"General History of Africa"という名の壮大なプロジェクトがある。 General History of Africa | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization General History of Africa - Wikipedia, the free encyclopedia 196…

史資料の情報量に関する分析

要は、ある地域でどの程度の量、歴史的な情報が現代に伝えられたか。 たぶん、これをプロットすれば(するだけでも)相当に面白いのではないか。 当然、古い時代の史資料ほど残存率が低くなるのは容易に推測可能だし、戦乱等の混乱がある度にガクッと史資料情…

官僚制度は人工知能で代替または補完しうるか?

まず、官僚制というのはそもそもが徴税による富の収奪及びそうして王なり皇帝なりが得た富の公共サービスを通じた再分配を円滑に行うためのものであった。王様一人では到底、それに必要とされるだけの情報量を捌けなかったので、近しい者(おそらく、王家の家…

ラピュタ帝国の興亡

「バルス!」 そう、皆大好き天空の城ラピュタである。だが、私としてはあの物語は不完全だと思っている。 別にグラサンロリコンが世界征服を試みようと、ドーラ一家が財宝を狙おうとパズーとシータがリア充していようと構わないが、宮﨑駿は一つだけ忘れ物…

E. トッド「世界の多様性」をC. ヘンペルのDNモデルに照らし合わせる

エマニュエル・トッドという人名を、聞いたことがある方も多いと思われる。 人口学的な分析から現代世界の抱える様々な側面を斬新に分析したことで知られる、有名な人類学者(ただし、本人は人類学者と呼ばれることを嫌っているが)である。 世界の多様性 家族…

現代史・近代史はともかく、現代の社会を考える上で中世とか増してや古代史を学ぶ必要ってあるのか?

といったようなことを考えてみたい。 「賢者は歴史に学び、凡人は経験に学び、愚者は何も学ばない」 という警句にある通り、歴史に、即ち自他を問わない過去の経験に学ぶのはとても良いやり方であるというのは論を俟たない。 だが、(非常に卑近な意味で)歴史…

K. ポパー「歴史主義の貧困」は一文で要約できる。

要約しよう。カール・ポパーが「歴史主義の貧困」で主張したことは一つ、 「人類の歴史の進展は、人間が獲得した知識に大きく左右され、そして『明日知るはずのことを今日知ることはできない』ので、社会については未来の予測が原理的にできない」 というも…

史的システムとは?

I. ウォーラーステインの「入門・世界システム分析」を読んでいて遭遇した、史的システムなる言葉が今一つ分からない。 一応、用語解説に「史的システム」の項はある。 (前略) あらゆる社会システムが、システム的である(記述可能な持続的特徴を有する)と同…