惑星からの逃走線

読書記録や研究上で思いついたこと、日々の雑感など。

科学哲学

Agent-based Simulation と Actor Network Theory について

ANT(Actor Network Theory)については,結構前からその存在自体は知っていて,またABS(Agent-based Simulation)との接合,みたいな考え自体もあったが,あまり考えが纏まらなかったので特にBlogには書かないでいた。いまだ確固たる意見を持つには至っていな…

『歴史』とは現在を説明するための,過去に関する仮説である

我々はいかにして過去を認識しているのか。 というのも,過日に集合的記憶論についてちょっとした発表をしたのだが,少しだけ『歴史』とは「事実生起した事物」という意味か,それとも我々の間主観あるいは主観としての過去に対する表象か,という論点が提出…

記憶の『読み方について』

『既在性』という,ハイデッガーの用語を知った。「記憶とは過去の事象を表すものであり,既に存在しないが記憶の想起は現在に属する事象である」ことを指し示すものであるらしい。 一般に記憶は,過去の事象の痕跡と,それの読み方から構成される,と思う。…

神の視点と人間という存在者

西川アサキ氏という,かなり恐るべき著者がいる。 魂のレイヤー―社会システムから心身問題へ 作者: 西川アサキ 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2014/05/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身…

自由意志と社会シミュレーション

自由意志の問題と社会シミュレーションという、一見して明らかに結びつくにくそうなトピック二つであるが、私の考えるところによれば、これらは密接な関係がある。なぜか、を以下に解説したい。 まず、自由意志というのは(基本的には、という留保を付けた上…

E. トッド「世界の多様性」をC. ヘンペルのDNモデルに照らし合わせる

エマニュエル・トッドという人名を、聞いたことがある方も多いと思われる。 人口学的な分析から現代世界の抱える様々な側面を斬新に分析したことで知られる、有名な人類学者(ただし、本人は人類学者と呼ばれることを嫌っているが)である。 世界の多様性 家族…