惑星からの逃走線

読書記録や研究上で思いついたこと、日々の雑感など。

社会シミュレーション

Agent-based Simulation と Actor Network Theory について

ANT(Actor Network Theory)については,結構前からその存在自体は知っていて,またABS(Agent-based Simulation)との接合,みたいな考え自体もあったが,あまり考えが纏まらなかったので特にBlogには書かないでいた。いまだ確固たる意見を持つには至っていな…

神の視点と人間という存在者

西川アサキ氏という,かなり恐るべき著者がいる。 魂のレイヤー―社会システムから心身問題へ 作者: 西川アサキ 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2014/05/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身…

大衆を「自然」と看做す為政者の発想と社会シミュレーション

為政者は,多分に大衆(もっと有り体にいえば被治者)を一種の『自然現象』として看做す思考乃至発想が,あるように思われる。丸山眞男によれば江戸期武士階級などは如実にそうであったという。 さて,具体的に被治者を自然と看做す発想は,どういったものか。…

『本質的なアナロジー』と『表面的なメタファー』;あるいは,なんで予測できないモデルを作るのか。

社会をシミュレートして理解しようという発想は,言うまでもなく「アナロジー」という思考の一形式に基づいたものである。例をとって説明すれば,ロトカ=ヴォルテラ方程式で,x, y は各々捕食-被食関係にある生物種のポピュレーションを表示したものだが,無…

丸山眞男vs数理モデル化:あるいは凡人が概念を操作する可能性について

バーバルな研究で,かつ「論理を追いやすい」著者というのは貴重だ。そして丸山眞男はそうである。 彼自身の,相当に複雑かつ慎重で,そして膨大な思惟は一見して近寄りたくあるが,しかし実際には「論理を追う」こと自体はこの選集『丸山眞男セレクション』…

Agent-based Social Simulation が持つ「超越者の視点」?

最近、朧に思うこととして「ABSSが持つ『超越者の視点』」と仮に呼んでいるものがある。 Agent-based social simulation - Wikipedia, the free encyclopedia 要は、社会シミュレーションというものは当然というか社会の全てを再現することは不可能だしあま…

社会シミュレーションと社会思想の『適切な関係』に関する一考察

社会シミュレーションと社会思想の『適切な関係』に関する一考察 人はなぜ、社会シミュレーションを行いたいのだろうか。 今の社会物理・経済物理やAgent-basedな社会シミュレーション、微分方程式や確率モデルを用いた数理モデルを用いた研究の多くは「社会…

効用とは何か

素朴な疑問で不勉強がバレてしまうが、効用関数を所与としないような社会シミュレーション(ゲーム理論でも、ABMでも)ってあるのかな。

自由意志と社会シミュレーション

自由意志の問題と社会シミュレーションという、一見して明らかに結びつくにくそうなトピック二つであるが、私の考えるところによれば、これらは密接な関係がある。なぜか、を以下に解説したい。 まず、自由意志というのは(基本的には、という留保を付けた上…