惑星からの逃走線

読書記録や研究上で思いついたこと、日々の雑感など。

メモ書き

世界の粒度について

いきなり大上段に構えた話で恐縮だが,近代科学は基本的には――無論,例外は多々ありそれは最近になって増加傾向にあるように見えるが――要素還元主義的であった。世界を十分に分割し,分割された範疇内での事象を可能な限り徹底的に観察し,考察し,実験を行…

Agent-based Simulation と Actor Network Theory について

ANT(Actor Network Theory)については,結構前からその存在自体は知っていて,またABS(Agent-based Simulation)との接合,みたいな考え自体もあったが,あまり考えが纏まらなかったので特にBlogには書かないでいた。いまだ確固たる意見を持つには至っていな…

『歴史』とは現在を説明するための,過去に関する仮説である

我々はいかにして過去を認識しているのか。 というのも,過日に集合的記憶論についてちょっとした発表をしたのだが,少しだけ『歴史』とは「事実生起した事物」という意味か,それとも我々の間主観あるいは主観としての過去に対する表象か,という論点が提出…

人間の条件と,死者を想起すること。

最近,5年前に亡くなった母方の祖父を思い出すことが多い。 理由ははっきりしていて,同じような別れを母方の祖母とする日が,そう遠くない――もちろん,明日か10年後かは分かる由もないが――だろうという,漠たる予感があるのだ。 人間にとって,やはり死は受…

ハンセン病―排除・差別・隔離の歴史 作者: 沖浦和光,徳永進 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2001/11/15 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (3件) を見る 私は電車の中で,図書館から借りたハンセン病の隔離の歴史についての本を読ん…

記憶の『読み方について』

『既在性』という,ハイデッガーの用語を知った。「記憶とは過去の事象を表すものであり,既に存在しないが記憶の想起は現在に属する事象である」ことを指し示すものであるらしい。 一般に記憶は,過去の事象の痕跡と,それの読み方から構成される,と思う。…

神の視点と人間という存在者

西川アサキ氏という,かなり恐るべき著者がいる。 魂のレイヤー―社会システムから心身問題へ 作者: 西川アサキ 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2014/05/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身…

大事な大事な(天空への)アタックチャ〜ンス

ふと思ったが,もしも今最も人口増加が甚だしいアフリカや南アジアといった地域でも人口ボーナスが人口オーナスに転じたら,どうなるであろうか。 資源の消費はある程度抑制されるだろうから「環境には優しい」のかもしれないが,要は地球全体が今の日本とか…

発見的なアートと解決的なテクノロジーと記述的なサイエンス

『知』の在り方には,掲題の三つがあるような気がする。 アートは,多分に『問題発見的』だ。アーティストは,作品を通じて様々な「問題」を提起する。 それは,かなりの場合において今まで問題と看做されていなかったものを含む。あるいは,問題に限らず,…

読みたい本

オートポイエーシス・システムとしての法 (ボイエーシス叢書) 作者: グンタートイブナー,Gunther Teubner,士方透,野崎和義 出版社/メーカー: 未来社 発売日: 1994/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 日本の統治構造―官僚内閣制から議院…

近況

ぼつぼつプログラミングもせにゃならんなあ、と思いつつまるでやっていない、とても良くない。 ついでに英語と数学も圧倒的なくらいやっていない、大変よろしくない。 やるべきことリスト(重要度の高いもの): 英語(高校英語から復習) 初期文明について詳細…

自由意志と社会シミュレーション

自由意志の問題と社会シミュレーションという、一見して明らかに結びつくにくそうなトピック二つであるが、私の考えるところによれば、これらは密接な関係がある。なぜか、を以下に解説したい。 まず、自由意志というのは(基本的には、という留保を付けた上…